こんにちは!
3児のママでFPの資格を持っているすずめです。
かつて、15歳未満の子供には、年少扶養控除があったことをご存じでしょうか?
そして2010年ごろに、年少扶養控除が廃止され、かわりに児童手当がもらえることになりました。
現在、児童手当などの子供関連費用にかかる所得制限や、児童手当の増額が話題ですね。
SNSでは、「年少扶養控除を返せ!」といったコメントも目にします。
ふーん。。。
「年少扶養控除を返せ」ってことは、児童手当になって損しているってこと?
年少扶養控除と児童手当、結局どっちが得なの?
こんな疑問をもった私。
「年少扶養控除と児童手当のどっちが得問題」が気になったので、自分なりに計算してみました。
すると、驚きの結果に!
よければ、最後までお付き合いくださいね。
・年少扶養控除と児童手当の差が知りたい人
・年少扶養控除を返してほしい人
・児童手当の所得制限撤廃を望む人
年少扶養控除で税金はいくら軽減される?
年少扶養控除は、子供1人あたり、所得税から38万円が控除、住民税から33万円が控除されていました。
年少扶養控除についてはこちらをご覧くださいね。(ウィキペディアに飛びます)
年少扶養控除があった時代、所得税、住民税のそれぞれで、実際いくら税金の支払いが軽減されていたのでしょうか?
年少扶養控除による所得税の軽減分は?
所得税の税率は、収入によって異なります。
国税庁H.P.
課税される所得金額 税率 控除額 1,000円 から 1,949,000円まで 5% 0円 1,950,000円 から 3,299,000円まで 10% 97,500円 3,300,000円 から 6,949,000円まで 20% 427,500円 6,950,000円 から 8,999,000円まで 23% 636,000円 9,000,000円 から 17,999,000円まで 33% 1,536,000円 18,000,000円 から 39,999,000円まで 40% 2,796,000円 40,000,000円 以上 45% 4,796,000円
この記事を検索される多くのサラリーマンの方が、税率20%(またはそれ以上)に該当すると思いますので、この記事では、税率20%を基に計算していきます。
また、子供の人数は、1~3人までで計算していきます。
子供1人に対する所得税の年少扶養控除額は38万円です。
子供1人:38万円×1人分=38万円
子供2人:38万円×2人分=76万円
子供3人:38万円×3人分=114万円
上の、子供の人数に対する年少扶養控除額に、所得税率(20%)をかけることで、軽減される所得税額がわかります。
子供1人:38万円×20%=76,000円
子供2人:76万円×20%=152,000円
子供3人:114万円×20%=228,000円
ご自身の家庭での所得税軽減分はわかりましたでしょうか?
続いて、住民税の軽減分を計算します。
年少扶養控除による住民税の軽減分は?
住民税の税率は、収入に関わらず、一律10%です。
また、子供1人に対する住民税の年少扶養控除額は33万円です。
子供1人:33万円×1人分=33万円
子供2人:33万円×2人分=66万円
子供3人:33万円×3人分=99万円
上の、子供の人数に対する年少扶養控除額に、住民税率(10%)をかけることで、軽減される住民税額がわかります。
子供1人:33万円×10%=33,000円
子供2人:66万円×10%=66,000円
子供3人:99万円×10%=99,000円
ご自身の住民税軽減分はわかりましたでしょうか?
では、住民税と所得税を合算して、年少扶養控除によって軽減されていた税金を算出しますね。
年少扶養控除による所得税&住民税の合計軽減分は?
上で計算した、年少扶養控除により軽減される所得税額&住民税額を足します。
子供1人:76,000円+33,000円=109,000円
子供2人:152,000円+66,000円=218,000円
子供3人:228,000円+99,000円=327,000円
いかがですか?
これは、かつて、年少扶養控除があった時代の税金の軽減分です。
今、この軽減はありません(泣)
ふー。
ここまでで半分!
この勢いで、後半戦行きましょう!
年少扶養控除と児童手当を比較
児童手当が、いくらもらえるかについては、別記事にまとめています。
児童手当の所得制限で損する合計金額はいくら?特例給付も!上の記事にもあるように、児童手当は、所得によって制限が設けられています。
上の記事で計算した結果から、ここでは年間にもらえる児童手当の額と、年少扶養控除の税軽減額を比較しました。
(※児童手当の額は3歳以降にもらえる、1人1万円/月として計算します。なお、3人目は1人1.5万円/月)
子供の人数 | ||||
1人 | 109,000円 | 120,000円 | 60,000円 | 0円 |
2人 | 218,000円 | 240,000円 | 120,000円 | 0円 |
3人 | 327,000円 | 420,000円 | 180,000円 | 0円 |
結論は次のとおり!
年少扶養控除<児童手当
児童手当がお得な額は、
子供1人:120,000円-109,000円=11,000円
子供2人:240,000円-218,000円=22,000円
子供3人:420,000円-327,000円=93,000円
※所得税率が20%より低い場合は、児童手当と年少扶養控除の差はおおきくなります。
一方、特例給付になると逆転します。
年少扶養控除>児童手当
児童手当で損する額は、
子供1人:109,000円-60,000円=49,000円
子供2人:218,000円-120,000円=98,000円
子供3人:327,000円-180,000円=147,000円
さらに、年収1200万円以上となると、児童手当の額は0円!
年収1200万円以上の方は、所得税率も20%以上になります。
つまり、上の年少扶養控除と児童手当の比較表にある、年少扶養控除の額以上に損していると考えられます。
私が感じたこと
「年少扶養控除と児童手当のどっちが得問題」ですが、特例給付以上になると、児童手当で損をしていることがわかりました。
SNSなどで、「年少扶養控除を返せ!」と言っている方は、おそらく、児童手当が、特例給付orもらえていない方なのでしょう。
確かに、特例給付のラインは、様々なことに制限がかかりますので、怒りの気持ちもごもっともかと。
高校無償化、こども医療費、配偶者の遺族年金、未来応援給付金、高い高額療養費用・・・
一般的に、
「年収1,000万円が最も損をする」
「働き損の子育て罰」
と言われるのも納得です。
だって、年収1,000万円あたりは特例給付以上に引っかかり、かつ子供が多いほど損する金額も多くなる現実・・・
今回自分で計算してみて、ようやく実態がわかりました!
これまで無知だった私ですが、皆さん、こういった現状を知って発言されていて、すごいなぁと改めて感じました。
一方、「金銭的に困っている方に多くの支援を」という政府の意向を考えると、年少扶養控除(年収・所得税率が高いほど、減税額が多くなる)に戻る可能性は少ないのではないかと、個人的には考えています。
そして、「金銭的に困っている方に多くの支援を」という政府の意向も理解できます。
「特例給付以上になると子供が多いほど損する現実」「困っている方に多くの支援を」という状況を踏まえると、年少扶養控除の復活ではなく、昨今話題の、児童手当の所得制限撤廃が落としどころだと感じました。
特例給付も含めて所得制限は撤廃、子育て支援は親の所得に関わらず、一律にしてほしいと感じています。
皆さんは、どのように感じますか?
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